Jules Shear


ジュールズ・シアーを知ったのは、93年頃ですから非常に遅かった。「The Great Puzzle」を偶然聴いてノックアウトされました。すばらしいアルバムでした。収録されている曲に外れがない。ウッドストック系音楽の90年代的発展という感じかなあ。

で、それを聴いてから、「Healing Bones」、80年代のソロアルバム、70年代のジャック・テンプチンと組んだファンキーキングス、彼がリーダーで組んだポーラーベアーズなどと、聴いていきました。

これは一般に言われていることですが、ジャクソン・ブラウンとメロディや歌いまわしが似ているというのは、後で気づいた次第でした。

私見ですが、ジャクソン・ブラウンと彼は、「こぶし」が特徴であると思っています。日本の民謡やR&Bなどのブラックミュージックにも、独特のこぶしがあるわけです。そのような激しいものではありませんが、メロディが伸びたところでの軽い「こぶし」がある。

つくるメロディも似ているのかもしれませんが(私はあまり似ているとは感じない)、彼らの共通点は、こぶしです。ジュールズ・シアーは、ある時期にロスアンゼルスに拠点を持っていたので、ジャクソン・ブラウンと関係があったのかどうか、知っている人がいたら、教えて欲しい。

ジュールズ・シアーのことで、思い出深くかつびっくりしたのは、彼が来日して初めてライブを見たとき。アメリカには、個性的なギターを弾くアーティストがいっぱいいる。たとえばエイモス・ギャレット、ローエル・ジョージ、後で出てくるライ・クーダー、ニルス・ロフグレンなど。それはそれまでの自身の経験なのか、伝統の肉体化なのか、独学からきた技術なのか、まったくわかりません。とにかくユニーク。

ジュールズ・シアーのそれは、リードをとるギターではなく、歌の伴奏としてのギターなのだが、技術的に優れているとか(むしろ普通)、ユニークとかではなく、独特なのはその弾き方なのだ。

たとえば右利きだとすると、左手はネックを握るように、または親指でネックの裏を支えて他の4本の指で、コードを押さえる。彼の場合は、ネックの上側から親指でコードを押さえるものでした。チューニングが違うのかどうか知りませんが、あれで複雑なコード押さえられるのかしら。

一人で独学するうち、ギターを弾きこなすようになったのでしょうね。でも、あれだけ豊かなメロディが生まれるのですから、音楽は不思議で、すばらしいものだなあと感心します。

ソロ、バンドなど合わせてレコード・CD17枚。